日曜日の夕刊 [重松 清の本]
重松さんは短編小説がイイ。
かつて子どもだった人、そして今子どもの人、親の立場の人、あらゆる人にオススメの本作。
どれか一編はきっと胸に響くハナシがあるハズ。
チマ男とガサ子
カーネーション
桜桃忌の恋人
サマーキャンプへようこそ
セプテンバー81
寂しさ霜降り
さかあがりの神様
すし、食いねェ
サンタにお願い
後藤を待ちながら
柑橘系パパ
卒業ホームラン
の全12編。
私は「生意気」で「クール」で「子どもらしく」ない少年が、これまたアウトドアには向いてない
父親とキャンプに参加する「サマーキャンプへようこそ」がお気に入り。
イタイ夫を冷ややかに見つめる妻が、突撃取材を受け高級スシ店に夫妻で乗り込む「スシ食いねェ」
も印象深い。
歳の離れた兄弟が生まれてちょっぴり淋しいおねぇちゃんの切ない気持ちがよく出てる「さかあがりの神様」も捨てがたい。
でもなかでも私にとってのベスト1は「後藤を待ちながら」。
:昔、子どもだったころにクラスメートの「後藤」をみんなでからかい自殺未遂にまで追い込んでしまった思い出をもつ主人公が、家庭をもちオジサンになってからの同窓会の誘いをうける。そしてその会にはなんと「後藤」も来るという・・・
かつて罪悪感もイジメを行っているとの認識もなく同級生を集中的にからかっていた主人公が、
中年になり親となり、今度は自分の息子がイジメにあうことにより、「後藤」の本当の苦しみを知る。
同窓会という場で過去を回想し、ざんげしながら「後藤」を待つおはなし。
すごく身につまされました。
イジメはいけないこと。
それは分かっていても、いじめている子もまた子どもです。分かってなかったりする。なにも。
大人になってから自分が間違っていたと気付くこと、分かることがある。
しかし大人になってから分かっても遅いことも、ある。
いじめられる子どもの悲しみを訴えるだけでなく、いじめる子もまた発展途上の子どもである面からも
描き、そこにイジメのやっかいな問題があることを暗示しているように感じました。
後味のよいラストが救い。私も過去の行動にいろいろ反省・・・・
この作品に限らず、どれか一編は共感できるものがあるのでは。
それがどれかはひとそれぞれですけれど。
私個人としては・・どれとはいいませんが「は?」っていう話もあったし。
でも絶賛してる人もいるし・・・
おもしろいですね。人の感性って・・・
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