めずらしく恋愛小説などを読んでみる [その他の本]
少し興味をそそられ、借りてみました。
彼女とは。。。。
唯川 恵さん。
直木賞受賞作品。
期待したけど、私にはちょっと・・・
面白かったけど、主人公はじめとする登場人物が、強烈すぎて、現実的ではなかった。
でもこの作家、女の醜い部分をしっかり描いていて、気恥ずかしくなりつつも「いるいる、あるある・・」で
読ませてしまう。すごいです。
女心がわからない、かわいい女に痛い目にあわされてばかりいる男性が読むと勉強になるかも
こちらの作品のほうが私は面白かった。
キャリアウーマンとして生きる女性と、
寿退社で、二人の子どもに恵まれ専業主婦として生きる女性を時間を区切って対照的に描いていくのが
面白かったし、どちらの女性も傍目には幸せそうに見えて、心の中ではこれで本当に良かったのか、と
常に自分に問いかけて、相手の生き方と比べてしまう。
二人の女性の心の葛藤が、とてもリアルな形で描かれていて、なおかつ等身大の女性としてとても現実味が
あり、自分のこれまでの生き方を考えさせられた。
私は今専業主婦でこの小説でいうと「夫の保護下にある、気楽な身分」にあたるが、もちろんこのままで
いいのだろうかという問いは常にある。
でも、もし人生やり直せるとしても、やはり仕事をやめる道を選んでいただろうと思う。
友人の中には、まだバリバリ働いている女性も何人かいる。
おしゃれで裕福に見えるし、恋愛も自由だ。うらやましいと思うときもある。
でもそれは彼女たちが本当に望んでいる生き方なのだろうか・・・・。この本を読んで少し思った。
夫と結婚してなかったら、私も同じように仕事に生きていただろう。この本の乃梨子のように起業して
成功をおさめるなんてことはないだろうが、それなりにキャリアを積んでいたと思う。
でも、子どもとは出会えなかった。私にとって今目の前にいる娘は何にも替えがたい宝だ。
この子がいる幸せをやはり後悔してはいない。平凡でつまらなく見える生活かもしれないが、
子育てを今出来ることを幸せに思う。
大切なのは、この小説のラストにもあるように、
「自分の生き方に自信をもつこと」だ。
どんな結果であれ、その節目節目に自分が選択してきたことなら、自分で選んだ道だ。
私は私の今に自信をもっていたい。
そう思えるいい小説だった。
ただひとつ、気になったのは、登場人物たちがいとも簡単に不倫してしまうこと。。。
罪悪感なし。
これは人妻として理解不能だった。
男の人はみんなこうなのか?と不信感が募ってしまう描き方だ。そんなことはないと思うけど・・・。
もちろん自分にまったく願望がないといったら嘘になるが、実行してしまうことを正当化してほしくない。
ツレがうつになりまして。 [その他の本]
最近読んだ本 [その他の本]
登場人物がみなあったかくて好きです^^
それにしても息子にとって母親ってこんなにも大切なものなんですね・・・
私は女系家族で今も息子はいないのでこの母と息子の絆というか関係がものすごく
未知の世界に思えるものでして・・・「東京タワー オカンとボクとときどきオトン」も泣けたけど
理解不能の部分もあったっけ。
タイムスリップのはなし大好き切なさと懐かしさが入り混じってて、亡き人の姿に会えて・・・
生きてれば誰もが思う過ぎていった日々。もう一度あの頃に・・・
そういえばまだ小学生であったにもかかわらず、「異人たちとの夏」って映画もすごく印象に残ってるし
やっぱりタイムスリップのはなしが好きなんだなぁ。
破線のマリス [その他の本]
第43回江戸川乱歩賞受賞作。
テレビ報道の内幕を抉るサスペンス最高傑作!
首都テレビ報道局のニュース映像編集ウーマン、遠藤瑶子。彼女は、客観的な真実などこの世に存在しない、映像を操る者の主観的真実こそが視聴者を動かすのだと言う信念を持つ。報道被害すれすれの巧みな映像モンタージュを繰り返す瑶子のことを報道局の上司は苦々しく思っていたが、その映像編集が番組の視聴率を上げているのも事実だった。
ある日、瑶子は春名と名乗る郵政官僚から内部告発のビデオテープを受け取る。先日の弁護士転落事故は、実は郵政省内の汚職に絡んだ殺人だという内容だった。瑶子はこのテープをいつものように編集し、上司のチェックをかいくぐって放送したが、その中で「犯人扱いされた」として麻生という郵政官僚が首都テレビに抗議にやってきた。
彼は何者かに弁護士殺しの罪を着せられたのだと主張する。調べれば、春名は郵政省に存在しない人間だった。真実はどこに存在するのか?瑶子は少しずつ自らの罠にはまっていく。
記念すべき100記事目は野沢 尚氏の10年ほどまえに書かれた作品。
今読んでも少しも色あせてなく、それどころかTVのやらせ・捏造問題で騒がれている今を
見透かしたような内容に驚きを覚えた。
まさに今読むのがタイムリーな作品。
内容はミステリーというよりは警告だ。
謎解きはあるが事件そのものは未解決のまま。
冒頭から前半はTV業界の専門用語や、市民オンブズマン怪死事件の細かい説明などで
知識のない私には正直読み飛ばしたくなるが、ここはあとになって重要なキーとなってくるので
ぐっとこらえて読みすすめていると、だんだんハラハラ・ドキドキのサスペンス色になっていく。
私は物語の中盤で「真犯人」がわかってしまったのだが、それでも途中、(やっぱり違うかな、
あれ、でもやっぱり・・・)と読み手を惑わせる筆腕はさすが。
題名も私には初めて聞く言葉だったが、
「破線」とはTVにめぐらされる五百二十五本の線、「マリス」とは情報の送り手側の意図的な
悪意、という意味なのだそうで、ニュースなどは編集にマリスが潜んでないかチェックし、
送り手はその除去を常に意識すべきだという。
私には以前、自分の中学がかなり校則に厳しい学校だったことで報道され、
その編集の仕方にものすごく違和感をもった経験があり、「マリス」という言葉は
知らなくても、なんとなくニュースはあまり鵜呑みにするものじゃないなぁ・・と感じていた。
それからTV番組やニュースは疑ってみるクセがついている。
“作り手の意図”というものに受け取り手はもっと敏感になり、情報をそのまま鵜呑みにすることの
危険をもっと意識すべきだとこの本は警告している。
野沢氏は10年も前から警告していたのだ。
自身もTVに携わるTV業界人という自戒の意味もこめて。
最後の主人公瑤子の言葉が胸に響く。
「ここに映っている私を信じないでください。」
「赤い指」※ネタバレ少しあり [その他の本]
「恋人よ」野沢 尚 [その他の本]
「マオ ―誰も知らなかった毛沢東」 [その他の本]
「少年H」妹尾河童 [その他の本]
戦争の悲惨さを伝えながらも子どもの視点でユーモアを失わず、
軽いタッチで描かれている秀作。
「椿山課長の七日間」 [その他の本]
ひさびさに読書。
- 作者: 浅田 次郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/09/15
- メディア: 文庫
面白かった!!
月並みな表現でスミマセン。
でもすんごい面白かったとしか言いようがない。その一言に尽きる。
笑わせて泣かされる。私の好きなタイプの本だ。
脳溢血であっという間に急死してしまったモーレツデパート社員の
椿山課長。
あの世で現世の行いを責められ「邪淫の罪」に納得できず異議を
申し立てた椿山は、全く別人の美女になって現世へ舞い戻る。
ただし3日間という期限付きで・・・・
まず黄泉の国というおどろおどろしいイメージをくつがえす、やけに
ハイテクな死後の役所にびっくりするやらおかしいやら。
死んだら即、天国か地獄に行くのではなく、現世の行いを悔い改めた人が
反省ボタンをおしてエスカレーターで極楽浄土へあがっていくしくみに
なっている。終始フザケた感じで笑っちゃうんだけど妙に納得してしまう
考えられたシステム。もちろん重罪人は地獄へ。
冒頭からかなり冗談がとびだして面白くてぐいぐい引き込まれた。
そして現世に戻った椿山は別人になって
家族や親しかった人々に近づくのだが、生きているときは全く気付かなかった
事実に次々に直面し愕然とする・・・・
椿山課長と一緒に「相応の事情」により現世に戻ったヤクザの親分や、
小学生の男の子も、それぞれ遺された大切なひとたちに「どうしても
伝えたいこと」を伝えるために奮闘する。それぞれが絡みあいながら・・・
登場人物が全て善人でやや出来すぎの感はある。
悪人もいるにはいるが憎めない。
浅田さんの作品らしく泣かせ、考えさせられる場面もしっかりあり。
私は「邪淫の罪」の章が一番こたえました。
1つ納得できないこと・・・以下ネタバレです。
智恵子抄 [その他の本]
子どもが冬休みに入ってしまい更新が怪しくなっています(・・;)なので書き溜めておいたものをアップ出来るときに一気にいきます…
この本は昔高校の教科書で少し読んだだけのものを今年改めて読んで今さらながら衝撃を受けた本です。
著者高村光太郎は著名な彫刻家。
妻智恵子は芸術家を志ながら己の才能の限界に絶望し発狂します。
嫁いだ先が芸術家の元でなければ智恵子はここまで絶望することはなかったかもしれません。
光太郎は智恵子を愛していましたが、智恵子の作品の評価には大変厳しかったのです。
私ははじめて読んだときは純愛というか
光太郎の智恵子に対する深い愛情に感動したのですが、
今回は智恵子の絶望に共感してしまい、一緒に苦しくなってしまいました。
発狂し幻覚や幻聴があったであろう智恵子は
死を迎えるまでの長い間、どれだけ孤独で、不安だったでしょう。
それは永久に続く暗黒の闇にたったひとりポンと放り出されたようなものです。
療養先でもついに回復することのなかった智恵子…。
ただ光太郎が見舞いに来るとうれしそうにおびただしい数の
ちぎり絵の作品を見せていた。
壊れていく精神状態の中でも深いところで、
智恵子は光太郎のことを忘れておらず、光太郎に認められることを
求めていた。
一人の聡明な女性の哀しい生涯。
智恵子抄は光太郎の著書だけど、智恵子の人生の本だ。
彼女の本当の気持ちを聞いてみたい。
あなたは光太郎と一緒になって幸せだったのかと…。
「レモン哀歌」「あどけない話」「人に」など光太郎の智恵子を歌った詩から
想像するしかありません。